理系出身ですが英語教えてます
受験英語という「最高の素材」と
映画の中で使われる英語の「リアリティー」を
真理を求める「科学者の視点」を通して調理・提供していきます
2013年8月19日月曜日
『欲望のバージニア』不滅の兄弟のお話 問題の解説
前回の記事で出した問題の解説です。
→『欲望のバージニア』”invincible” 不滅の兄弟のお話
問 下線部と同じ意味になるものを1~4の中から選びなさい。
You must bring home to her that she is wrong.
1. believe 2. convince 3. scold 4. tell 中央大学
① まずbring home to + (人) + (物)「(人)に(物)のことを痛感させる」という熟語の成り立ちを考えてみましょう。
homeは以前の解説で「心が帰る場所」と定義しました。
→『レ・ミゼラブル』 home 〜心が帰る場所〜
Bring Him Homeは
「彼を(愛するコゼットのもと)へ帰して」
→マリウスの心の中心
Bring me homeは
「私を(天国へ)連れて行って」
→ジャン・バルジャンの心の中心
ということでした。
bring home to (人) + (物)という熟語になった場合もhomeの考え方は同じで、
「心の中心に」という副詞として考えるとよいです。
またこの熟語を元の形に戻すとbring home (物) to (人)となります。
つまり、(物)を(人)の心の中心に持って行くという意味ですね。
例えば、
His mother's illness brought home to him how much he depended on her.
直訳すると
母親の病気がどれだけ彼が母親に頼っていたかを彼の心の中心に持って行った。
となるので、
どれだけ彼が母親に頼っていたかを表面的にではなく、心の奥底までどっぷりと分からせた。
ということになります。
そこから「痛感させる」「しみじみと分からせる」という意味が生まれて来ています。
なので、問題の文章の意味は、
You must bring home to her that she is wrong.
「あなたは彼女に彼女が間違っているということを心の奥底まで分からせなくてはならない。
→痛感させなくてはならない。」
となります。
これで、選択肢のconvince「相手の頭の中を完全に征服する→確信させる」が正解になることが分かります。
*****
bring home toは少し難しい熟語ですが一つ一つの単語や文章がとっている形の意味を考えるとグッと理解しやすくなりますよね。
ここからはやや蛇足ですが、受験生には知っておいてほしいので...
② 語法的アプローチ
問 下線部と同じ意味になるものを1~4の中から選びなさい。
You must bring home to her that she is wrong.
1. believe 2. convince 3. scold 4. tell 中央大学
下線部以下を見てみると、人 + that 節 が続いていることが分かります。
こういう形を見た瞬間、後ろにこの形をとる動詞を選択肢から探してください。
人+that節を後ろにとる動詞は全て「伝える」系の動詞です。
(瞬時に7つ言えるとかっこいい...!)
この選択肢の中だと tell と convince が該当します。
これで正解を2つまで絞ることができました。
あとは tell の「伝える」という意味か、convince の「確信させる、納得させる」という
意味のどちらが当てはまるか考えれば正解にたどり着けるはずです。
ちなみに
believeは believe that s + v
scoldは「叱る」なのでblame「責める」と同じ形をとることを覚えておくとよいです。
→ blame 人 for 理由
2013年8月17日土曜日
『欲望のバージニア』”invincible” 不滅の兄弟のお話
今日は『欲望のバージニア』を掘り下げて、少しだけ単語の話をします。
禁酒法の時代背景については前回の記事で触れたのでこちらを参考に。
『華麗なるギャツビー』『欲望のバージニア』、狂騒の1920年代
『欲望のバージニア』
あらすじ: 禁酒法時代のバージニア州、ボンデュラント3兄弟は密造酒ビジネスで幅を利かせていた。野心家の三男ジャック(シャイア・ラブーフ)は牧師の娘バーサの気 を引こうと苦心し、リーダー格の次男フォレスト(トム・ハーディ)は、シカゴから来たワケありの過去を持っていそうな女性マギー(ジェシカ・チャステイ ン)と恋仲になる。そんな時、新たに着任した特別補佐官レイクス(ガイ・ピアース)が法外な賄賂を求めてくる。レイクスの要求を拒否した兄弟は、非道な脅迫にさらされることとなり……。シネマトゥデイ
とまあ、あらすじはコピペで済ませますが、 物語の主人公は実在した「不滅」の三兄弟、ボンデュラント兄弟です。
「不滅」と言われてるくらいなので、もう全然死にません。
そんななか、3兄弟の末っ子であるジャック(シャイア・プーフ)に対して、ヒロインのミア・ワシコウスカ(かわいい)が言うセリフの中に "invincible" という単語があります。
この"invincible"が「不滅」という意味で使われています。
この単語を分解すると、
in + vinc + ible
となり、inは「否定」、vincは「征服する」、ibleは「〜されることができる」
=「征服されることができない」→「無敵」「不滅」といった感じで一つの単語ができていることがわかります。
vincの「征服する」という意味はvictoryの「勝利」と同じ。相手の領土を「征服する」=「勝利」です。
-ibleや-ableと動詞が組合わさった形容詞は言い換えれば can be + 過去分詞
なので、incredibleやunbelievable「信じられない」と合わせて考えると応用が利きます。
(ちなみにincredibleのcredは「信用する」意味で、クレジットカードは「信用」に基づいて後からお金を払うシステム、会社などで使われるクレドは「信条」の意味ですね。)
invincibleという単語は『スパイダーマン』の悪役グリーンゴブリンのセリフや、昨日DVDで観た『オズ はじまりの物語』でも登場していました。
この単語を使って「不滅」と言われた『欲望のバージニア』のジャックは
「invincible...意味わかんないけど響きがかっこいいね...!」
くらいの反応だったので酒の密造とかしちゃってる教養のない人にはレベルの高い単語みたいですが、分解して考えれば覚えやすいので覚えていい単語だと思います。
(意味もかっこいいし...!)
受験生向けに一つ書いておくと、
vincやvicという部品は入試に頻出のconvinceという単語の一部でもあります。
「納得させる」という意味で使われますが、
conは「完全に」という意味の強意の意味でcompleteのcomと同じなので
相手の頭の中を自分の考えで完全に征服するという意味が本来の意味です。
そこから「納得させる」「確信させる」という意味に繋がっているんですね。
以前『レ・ミゼラブル』の記事で登場したhomeの意味と合わせて下の問題を考えてみるとおもしろいです。
問 下線部と同じ意味になるものを1~4の中から選びなさい。
You must bring home to her that she is wrong.
1. believe 2. convince 3. scold 4. tell
中央大学
答えと解説は次回に持ち越します!
お楽しみに!
2013年8月16日金曜日
『華麗なるギャツビー』『欲望のバージニア』、狂騒の1920年代
仕事が少し落ち着いたので、7月, 8月に観た映画を少しずつまとめていこうと思います。
まずは以前予告していた『華麗なるギャツビー』の舞台となっている禁酒法時代の話から!
そして同じ時代を舞台としている『欲望のバージニア』に触れていきます。
『華麗なるギャツビー』
あらすじ:ニック(トビー・マグワイア)が暮らす家の隣に建つ、ぜいを凝らした宮殿のような豪邸。ニックは、そこで毎晩のように盛大なパーティーを開く若き大富豪 ジェイ・ギャツビー(レオナルド・ディカプリオ)と言葉を交わす仲になる。どこからやって来たのか、いかにしてばく大な富を得たのか、なぜパーティーを開 催し続けるのか、日を追うごとに彼への疑問を大きく膨らませていくニック。やがて、名家の出身ながらも身寄りがないこと、戦争でさまざまな勲章を受けたことなどを明かされるが、ニックはこの話に疑念を持つ。(シネマトゥデイ)
『欲望のバージニア』
あらすじ: 禁酒法時代のバージニア州、ボンデュラント3兄弟は密造酒ビジネスで幅を利かせていた。野心家の三男ジャック(シャイア・ラブーフ)は牧師の娘バーサの気を引こうと苦心し、リーダー格の次男フォレスト(トム・ハーディ)は、シカゴから来たワケありの過去を持っていそうな女性マギー(ジェシカ・チャステイ ン)と恋仲になる。そんな時、新たに着任した特別補佐官レイクス(ガイ・ピアース)が法外な賄賂を求めてくる。レイクスの要求を拒否した兄弟は、非道な脅迫にさらされることとなり……。シネマトゥデイ
『華麗なるギャツビー』と『欲望のバージニア』 はどちらも同じ1920年代を舞台としています。
アメリカが1917年に第一次世界大戦に参加し、イギリスやフランスへの食糧・軍事物資の輸出が急増したことから、自動車・電気・石油産業が著しく成長しました。
それにともない、大量生産・大量消費、モータリゼーション、ジャズや映画といった大衆文化の発達など、現代の生活様式の原型となるようなアメリカ文化が誕生し、1920年代はアメリカの黄金時代と言われています。
しかし、その裏で1919年の禁酒法が制定され、酒の密造・密売で利益をあげたマフィアや野心を持った人々が力をつけていきます。
禁酒法の裏で力をつけたマフィアの代表格は『ゴッドファーザー』のモデルとなっているアル・カポネでしょう。(『ゴッドファーザー』はアル・カポネをモデルにしていますが、時代背景は第二次大戦後なので禁酒法の描写はありませんが。。)
そして、ギャツビーや『欲望のバージニア』に登場するボンデュラント兄弟も、禁酒法の裏で違法に力をつけた野心家だったわけです。
2つの映画を比べてみると同じ時代であるにもかかわらず、かなり景色が違っていることがわかると思います。
これはニューヨークとバージニアの地域の差で、アメリカが急成長を続ける中で人口が都市に集中していったことを象徴しています。
『華麗なるギャツビー』の舞台のニューヨークは華やかですが、『欲望のバージニア』は田舎感がありますよね。(ギャツビーの華やかさはバズ・ラーマン監督の”過剰な”演出なので実際はもう少し落ち着いていたはずですが。笑)
禁酒法時代を舞台にした映画、特にギャングものは人気があるようで調べていたらたくさん出てきました。
『お熱いのがお好き』(1959)
『俺たちに明日はない』(1967)
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(1984)
『スカーフェイス』(1983)
『アンタッチャブル』(1987)
『ミラーズ・クロッシング』(1990)
同じ時代を背景にした映画を並べて観るのも、いろいろ勉強になって楽しいです。
*****
7月、8月は『モンスターズ・ユニバーシティ』『アフター・アース』『ワールド・ウォーZ』『ローン・レンジャー』も観たので、近いうちに記事にしていこうかなと思っています。
『世界にひとつのプレイブック』『ムーンライズ・キングダム』『クラウド・アトラス』あたりもレンタル開始したので書こうかな。。
こんなこと言いながらいつも1ヶ月くらい放置しちゃうので頑張ります。。
まずは以前予告していた『華麗なるギャツビー』の舞台となっている禁酒法時代の話から!
そして同じ時代を舞台としている『欲望のバージニア』に触れていきます。
『華麗なるギャツビー』
あらすじ:ニック(トビー・マグワイア)が暮らす家の隣に建つ、ぜいを凝らした宮殿のような豪邸。ニックは、そこで毎晩のように盛大なパーティーを開く若き大富豪 ジェイ・ギャツビー(レオナルド・ディカプリオ)と言葉を交わす仲になる。どこからやって来たのか、いかにしてばく大な富を得たのか、なぜパーティーを開 催し続けるのか、日を追うごとに彼への疑問を大きく膨らませていくニック。やがて、名家の出身ながらも身寄りがないこと、戦争でさまざまな勲章を受けたことなどを明かされるが、ニックはこの話に疑念を持つ。(シネマトゥデイ)
『欲望のバージニア』
あらすじ: 禁酒法時代のバージニア州、ボンデュラント3兄弟は密造酒ビジネスで幅を利かせていた。野心家の三男ジャック(シャイア・ラブーフ)は牧師の娘バーサの気を引こうと苦心し、リーダー格の次男フォレスト(トム・ハーディ)は、シカゴから来たワケありの過去を持っていそうな女性マギー(ジェシカ・チャステイ ン)と恋仲になる。そんな時、新たに着任した特別補佐官レイクス(ガイ・ピアース)が法外な賄賂を求めてくる。レイクスの要求を拒否した兄弟は、非道な脅迫にさらされることとなり……。シネマトゥデイ
『華麗なるギャツビー』と『欲望のバージニア』 はどちらも同じ1920年代を舞台としています。
アメリカが1917年に第一次世界大戦に参加し、イギリスやフランスへの食糧・軍事物資の輸出が急増したことから、自動車・電気・石油産業が著しく成長しました。
それにともない、大量生産・大量消費、モータリゼーション、ジャズや映画といった大衆文化の発達など、現代の生活様式の原型となるようなアメリカ文化が誕生し、1920年代はアメリカの黄金時代と言われています。
しかし、その裏で1919年の禁酒法が制定され、酒の密造・密売で利益をあげたマフィアや野心を持った人々が力をつけていきます。
禁酒法の裏で力をつけたマフィアの代表格は『ゴッドファーザー』のモデルとなっているアル・カポネでしょう。(『ゴッドファーザー』はアル・カポネをモデルにしていますが、時代背景は第二次大戦後なので禁酒法の描写はありませんが。。)
そして、ギャツビーや『欲望のバージニア』に登場するボンデュラント兄弟も、禁酒法の裏で違法に力をつけた野心家だったわけです。
2つの映画を比べてみると同じ時代であるにもかかわらず、かなり景色が違っていることがわかると思います。
これはニューヨークとバージニアの地域の差で、アメリカが急成長を続ける中で人口が都市に集中していったことを象徴しています。
『華麗なるギャツビー』の舞台のニューヨークは華やかですが、『欲望のバージニア』は田舎感がありますよね。(ギャツビーの華やかさはバズ・ラーマン監督の”過剰な”演出なので実際はもう少し落ち着いていたはずですが。笑)
禁酒法時代を舞台にした映画、特にギャングものは人気があるようで調べていたらたくさん出てきました。
『お熱いのがお好き』(1959)
『俺たちに明日はない』(1967)
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(1984)
『スカーフェイス』(1983)
『アンタッチャブル』(1987)
『ミラーズ・クロッシング』(1990)
同じ時代を背景にした映画を並べて観るのも、いろいろ勉強になって楽しいです。
*****
7月、8月は『モンスターズ・ユニバーシティ』『アフター・アース』『ワールド・ウォーZ』『ローン・レンジャー』も観たので、近いうちに記事にしていこうかなと思っています。
『世界にひとつのプレイブック』『ムーンライズ・キングダム』『クラウド・アトラス』あたりもレンタル開始したので書こうかな。。
こんなこと言いながらいつも1ヶ月くらい放置しちゃうので頑張ります。。
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