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2015年12月27日日曜日

今年のスパイ映画の中で『キングスマン』がダントツで好きな理由

日本では9月に公開された映画『キングスマン』

やっとブルーレイ・DVDが発売されましたね。

KINGSMAN / キングスマン ブルーレイ プレミアム・エディション(初回限定版) [Blu-ray]
 


今年はトム・クルーズ主演の大ヒットシリーズ、『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』、『シャーロック・ホームズ』のガイ・リッチー監督最新作の『コードネーム U.N.C.L.E.』、シリーズ24作目となる『007 スペクター』といったスパイ映画祭りでしたが、僕が一番惚れ込んだのはマシュー・ボーン監督、コリン・ファース主演の『キングスマン』でした。

僕が特定の作品を好きになる理由は、娯楽性とメッセージ性のバランスが取れていることです。

その点、ミッション・インポッシブルはいつも通りトム・クルーズが大活躍するので楽しいんですが、「娯楽性:メッセージ性=7:3」くらいで、娯楽性が強すぎるんです。

ガイ・リッチー監督の作品はいつも娯楽性マックス 、『シャーロック・ホームズ』もブラッド・ピット主演の『スナッチ』も大好きな作品ですが、「娯楽性:メッセージ性=10:0」なんです。(0は言い過ぎかもしれませんが、そういう作風なので...)

『007 スペクター』も 「娯楽性:メッセージ性=8:2」くらいでしょうか。
 映画としては星5つ、最高に楽しかったんですが、入れ込むほど好きにはなれませんでした。
前作『007 スカイフォール』はもう少しメッセージ性が強い印象だったんですが、今作はダニエル・クレイグが演じるジェームズ・ボンドの集大成だけあって、娯楽性が強目でした。

そして、『キングスマン』はというと、 「娯楽性:メッセージ性=5:5」で絶妙にバランスが取れているんですね。

ストーリーの中で一貫して語られる、MANNERS MAKETH MAN「マナーが紳士を作る」というモットーは、教える立場にいる僕にはこれ以上ないほどの言葉です。

マナー不足が社会問題にもなってますし、スパイである前に紳士的なキングスマンの振る舞いは、映画を観る前と観た後では、実生活にも影響するほどカッコいいんです。

実際、僕はキングスマンを観てから、より服装に気を使うようになりましたし、マナーについて以前よりも深く考えるようになりました。

日本語で言う「マナー」は歩きタバコをしないとか、電車の中で携帯で話さないとか、人として当たり前のことばかりですが、mannersは「行儀・作法」、もっと高いレベルで振る舞いを良くしていくことなんです。(ちなみにmannersは「作法」ですが単数形mannerは「方法」という意味です)

コリン・ファース演じる主人公、ハリーが語る言葉には「生まれや環境で人生は決まらない。学ぶ意欲さえあれば人は変われる。」という強いメッセージが込められていますね。

スパイ映画としての描き方も、最近のシリアス路線や、単にカッコいいアクションがあるだけでなく、若者の成長物語が主軸になっているので共感できます。

さらに言えば、悪役の女性が義足であることにも意味があり、教会でのシーンで殺されるのが、差別主義者であることにも意味があります。(ブルーレイの特典映像でも監督が語っていますね)

他に僕が好きな映画には『Vフォー・ヴェンデッタ』、『インターステラー』がありますが、Vフォー・ヴェンデッタは近未来の独裁国家が舞台なので、政治について考えることができます。『インターステラー』は環境問題により生活できなくなってしまった地球を抜け出し、別の銀河に居住可能な惑星を探しに行く話で、宇宙に対するパイオニア精神や、実際に起こりうる環境問題が語られています。「家族愛」がテーマになっていることも好きな理由です。

『キングスマン』はヴァイオレンスな描写が多い映画ですが、決してグロテスクではない(多少血はでますが)ので、作品に込められたメッセージを考えつつ、是非楽しんでいただきたいと思います。
 

2015年5月6日水曜日

『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』観てきました。



なかなかタイミングが合わず、やっと観に行けました。

アカデミー賞、ゴールデングローブ賞など数々の賞を受賞しているだけあって、素晴らしい作品でした。

◇あらすじ

かつてヒーロー映画『バードマン』で一世を風靡した俳優リーガン・トムソン(マイケル・キートン)は、落ちぶれた今、自分が脚色を手掛けた舞台 「愛について語るときに我々の語ること」に再起を懸けていた。しかし、降板した俳優の代役としてやって来たマイク・シャイナー(エドワード・ノートン)の 才能がリーガンを追い込む。さらに娘サム(エマ・ストーン)との不仲に苦しみ、リーガンは舞台の役柄に自分自身を投影し始め……。(シネマトゥデイ http://www.cinematoday.jp/movie/T0016565)

◇感想

ネタバレを避けるため、結論には触れません。

謎の多い映画ですが、冒頭のレイモンド・カーヴァーの引用を思い返すと、ラストシーンで感動できます。

引用はこちら
And did you get what you wanted from this life, even so?

I did.

And what did you want?


To call myself beloved, to feel myself beloved on the earth. 

字幕は

「この人生で望みを果たせたのか?

果たせたとも

君は何を望んだのだ?

”愛される 者”と呼ばれ

愛されていると感じること」

となっていました。

belovedが「愛される者」となっていますが、要は「愛されていると実感できること」を望んでいるんですね。

この意味を頭に入れてラストシーンを見ると、サムの表情が意味するところが理解できるはずです。

◇好きなシーン

全編通して、ハリウッド映画業界やアメリカ文化を風刺するブラックジョークでいっぱいなんですが、特に俳優を探すシーンが好きです。

ウディ・ハレルソン、マイケル・ファスベンダー、ジェレミー・レナーが言及されますが、それぞれ『ハンガー・ゲーム』、『X-MEN』、『アベンジャーズ』に出演している俳優です。



「とりあえずヒーローものに出しとけ」というハリウッド映画の風潮を風刺しているんですね。
主演のマイケル・キートンも実際に『バットマン』(1989)でヒーローを演じていたことも相まって痛快なブラックジョークになっています。

このときのセリフで使われている put him in a cape という表現も面白いです。

直訳は「ケープの中に入れる」ですが、前置詞inは「中」→「包まれている」という意味から「服を着ている状態」を表せるので、「ケープを着せる」という意味になります。
(映画『メン・イン・ブラック』のinも同じ意味で「黒服を着た男たち」になりますね。)


ヒーローと言えばケープ(マント)なので、「ヒーロー映画に出す」という意味になるんですね。



*****


ゴールデンウィークも今日までですね。

今日は授業がないですが、家で作業して、終わればご褒美として『シンデレラ』を観にいくつもりです。

実は、ゴールデンウィークという名前は映画を観るためのゴールデンタイムという意味合いでついたそうです。

『バードマン』は映画業界に対する強い風刺や、家族との関係や仕事に対する葛藤を独自の視点で描いた作品です。好みは分かれると思いますが、まだ上映中なので是非映画館でご覧になってください。













2015年2月23日月曜日

『きっと、星のせいじゃない』、原題はシェイクスピアの引用


こないだは感想だけ書いたので、今日はタイトルについて。

原題は "The Fault In Our Stars" はなので、直訳すると「運命(星)の罪」になるので、邦題は「星のせい」でないと一見逆の意味になってしまいますね。

このタイトルはジュリアス・シーザーの第1幕第2場でカエサルがブルータスに対して言うセリフの引用です。

The fault, dear Brutus, is not in our stars,
But in ourselves, that we are underlings.

「その失敗は運命(星)のせいではなく、我々自身のせいだ」という意味になる有名なセリフです。

星が運命をつかさどることはイメージしやすいはずです。

原作の小説のタイトルについてもいろいろな解釈がされているようですが、
このタイトルが意味するところは「2人がガンになったのは、自分たちのせいではなく、星のせい」ということでしょう。

小説の邦題は『さよならを待つふたりのために』 なので、この引用の意味は完全に消えているんですが、

映画の邦題は「きっと、」に込められた意味が強く、そのあとに「星のせいじゃない」と続けても、最終的な意味は「星のせい」ということになります。
僕もタイトルが発表されたときは不思議に思ってましたが、
映画を観終わって納得できました。

原題と邦題の差はよく議論の的になりますが、今回は原題の意味を殺さず、絶妙につけられていると思います。

『ゼロ・グラビティ』(原題:Gravity)や『ダークナイト・ライジング』(原題:The Dark Knight Rises)などは最悪ですが、じっくり考えると勉強になるので教材にはもってこいです。気になったらいろいろ調べてみると面白いですよ。

シェイクスピアの引用で言えば世界のエリートがみんな使っているシェイクスピアの英語 (講談社パワー・イングリッシュ)がオススメです。


『きっと、星のせいじゃない』も小説版の方があらすじで言及されていたり、映画の中の用例が多く紹介されているので、とても楽しく読めました。
実際の会話でどう使えばいいかも簡単に書いてあるので、ぜひチェックしてみてください。







『きっと、星のせいじゃない』★★★★★



公開初日に観てきました。

□あらすじ

ガン患者の集会で出会った二人の物語。

□感想

『(500) 日のサマー』と同じ脚本コンビということで楽しみにしてましたが、
期待を裏切らない感動でした。

母がガンになってから、不治の病いやガンをテーマにした作品は意識してみていますが、
同じテーマの作品の中では一番共感できました。

こういった作品の良さは、今まで言葉にできなかった感情に形を与えてくれることです。

ガンがテーマの作品はたいてい、カップルの片方が病気なんですが、今回はヘイゼルが肺ガン、オーガスタスが骨肉腫と、2人とも重いガンを患っています。
つまり患者側の感情と、残される側の感情が一人のキャラクターの中に共存しているんです。
残される側の感情を上手く描いた作品はあまりなかったんですが、
今作はその点を繊細に描いています。

「深夜の電話は恋人の死を知らせる電話かもしれない」

僕も、普段電話を掛けてこない父が電話を掛けてくると、すごく不安な気持ちになります。
なぜ不安になるのか、あまり意識していなかったんですが、
もしかしたら母のガンの再発を知らせる電話かもしれない、とか
誰か亡くなったのかも、とか
瞬間的に考えているのだと思います。

不安を漠然としたまま放っておくと、大きくなっていくばかりですが、
映画として物語に触れる事で、映像、音楽、言葉によって不安の正体を理解できます。
それだけでもだいぶ楽になるものです。

他にガンがテーマの映画でお勧めなのは、
ジョセフ・ゴードン=レヴィット主演の『50/50 フィフティ・フィフティ』とガス・ヴァンサント監督、ミア・ワシコウスカ主演の『永遠のぼくたち』です。

 『50/50 フィフティ・フィフティ』は5年生存率(5年後に生きている確率)が50パーセントの脊髄癌になった27歳の若者が主役で、ガン患者への接し方を考えさせられる作品でした。セス・ローゲンも出ていて、重いテーマをコミカルに描いているのも魅力的です。




『永遠のぼくたち』は他人の葬儀に勝手に参列する趣味がある少年と、脳腫瘍の少女が出会うお話で、とても美しい作品です。加瀬亮がイマジナリーフレンド(想像上の友達)としてでてきますが、彼も魅力的なキャラクターです。







2015年1月14日水曜日

『ホビット 決戦のゆくえ』(2014)★★★★★ 


冬期講習中はまったく映画館に行けませんでしたが、なんとかIMAX 3Dで観れました。

ホビット3部作の完結編ですが、圧巻の戦闘シーンから込み上げるものがあり、ラストはもう、涙あふれまくりでした。

HFR 3Dという形式での上映でしたが、とんでもなく映像が綺麗で、これ、実物見るより綺麗なんじゃないかと思うくらい息を飲む映像美でした。
 
セリフも素晴らしかったので、ラストシーンにかけてのビルボのセリフを少しだけ解説します。

ややネタバレなので、敏感な方は映画を見てから読んでください。


2014年11月29日土曜日

楽しみな映画!『Kingsman: The Secret Service』


『キック・アス』、『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』のマシュー・ヴォーン監督の最新作、

『Kingsman: The Secret Service』、めちゃくちゃ楽しみです!

コリン・ファースがスパイ役でアクションやるなんて...!




メガネのスパイと聞くと、マイケル・ケインが演じたハリー・パーマーを思い出します。


『国際諜報局』のハリー・パーマーシリーズは007のジェームズ・ボンドシリーズの映画化がされる時期に、ボンドとは対照的なナードな印象のスパイとして人気がありました。

『ダークナイト』3部作の執事、アルフレッドの話す英語を真似したくなったので、マイケル・ケインが出ている作品をいろいろ見てたんですが、昔の『ミニミニ大作戦』も面白いのでオススメです。

なんと『Kingsman: The Secret Service』にもマイケル・ケインが、

しかもメガネをかけて出ているので、ハリー・パーマーシリーズのファンはたまらないでしょうね。


すっかりおじいちゃんですが、公開中の『インターステラー』でも世界観に引き込む演技で魅せてくれました。まだまだカッコいいです。

おそらくですが、ハリー・パーマーシリーズへのパロディもあるのでは、と妄想してます。

ストーリー中でリクルートされる不良少年も含めて、3世代のスパイが活躍するということなんでしょうね。

日本での公開はいつになるのかまだわかりませんが、楽しみです。







2014年11月28日金曜日

『インターステラー』に出てくる物理の知識を簡単に


『インターステラー』に登場する理論物理学の知識は映画の中でもある程度説明されますが、事前に知っておくとより楽しめるはずなので、簡単に解説しておきます。

・ブラックホール
・相対性理論
・事象の地平面
・特異点

このあたりがポイントです。

この映画の科学的バックグラウンドは、理論物理学者のキップ・ソーンが製作総指揮として監修しているので、SFですが、リアリティがあり、最新の研究に基づいているところも面白いです。

今回は用語の説明なのでネタバレはほぼありませんが、事前情報を完全にゼロで楽しみたい方は映画をご覧になってから読んでください。



2014年8月2日土曜日

『GODZILLA ゴジラ』 whatever it takes




□あらすじ

ゴジラが起きて、芹沢教授(渡辺謙)のテンションがあがります。

□『GODZILLA ゴジラ』で学ぶ英語表現

原発事故について調べている父親(ブライアン・クランストン)が"whatever it takes"と口癖のように言っているのですが、息子のフォード(アーロン・テイラー=ジョンソン)も父親の意志を継いで同じ表現を使っています。



あるシーンでのお父さんのセリフ

Ford... go home to your son... keep him safe, whatever it takes... whatever it takes. 


whatever it takesをおさえるポイントはtakeの意味です。

takeは「とる」という意味から「奪う」→「必要とする」と派生させて考えましょう。

たとえば
It takes two hours to go to the station.「駅に行くのに2時間かかる」
というおなじみの表現でも、itの中身は to go to the stationなので、
直訳すると、「駅に行くことが2時間奪う」→「駅に行くことが2時間必要とする」
となります。

whatever it takesも直訳すると「たとえそれが何を必要としても」
となるので「何が何でも」「どんな犠牲を払っても」という意味で使われます。


最後に、入試問題で確認しましょう。
問 与えられた英文の内容を伝える文として最も適切なものを一つ選びなさい。
 He promised to do whatever it takes to improve his grades.
 1.He took something to make his grades better.
 2.He made a promise to move to a higher grade.
 3.He said he would try his best to get better grades.
 4.He said he would absolutely take whatever score he gets.
 京都産業大学




















□解答

「彼は何が何でも成績を上げると約束した」と同じ意味の文を選ぶので、答えは3ですね。
 お父さんのセリフではwhatever it takesは副詞として「何が何でも」と使われていましたが、ここではdoの目的語として使われています。

do whatever it takes to V も直訳から考えると簡単ですね。
「Vすることが必要とすることは何でもやる」となるので、
「何が何でもVする」となります。

takeの「奪う」「必要とする」という意味を考えると、
1や4の選択肢で使われているtakeはひっかけだということが分かりますね。















2014年7月19日土曜日

8月号のENGLISH JOURNAL




8月号のインタビューはトム・ハンクスとエマ・トンプソンで豪華です。

エマ・トンプソンは凄く綺麗なイギリス英語を話しますね。

先日ブログの読者の方にオススメしていただいて観た『いつか晴れた日に』も良かったです。
エマ・トンプソン、ケイト・ウィンスレットがヒロインを演じています。

原題は"Sense and Sensibility"「分別と多感」、原作はジェイン・オースティンです。

舞台は18~19世紀のイギリス、簡単に言えば恋愛と婚活のお話です。
当時は女性に財産相続権がなかったため、家柄の良い女性にとっては、お金持ちの男と結婚できるかどうかで人生が決まります。

女性が賃金を得て生活するためには労働者階級に身を落とすしかなかったんです。
そんな自体は当然避けたいので、母親もなんとかして娘を裕福な男性に嫁がせようとします。

お金か愛か、普遍的なテーマですが、原作のジェイン・オースティンが描くキャラクターは本人が必死でも傍目から見ると笑えてしまうイギリス特有のユーモアを持っているので面白いです。

キーラ・ナイトレー主演の『プライドと偏見』も同じくジェイン・オースティン原作で、こちらはジョー・ライト監督の繊細な描写も魅力です。

当時の結婚観や服装が分かるのも楽しいです。
この時代は映画でよく目にするコルセットでガチガチの服ではなく、ゆったりした服装でした。

ジェイン・オースティンの作品はイギリスの学校教育で使われる古典なので、文化背景・イギリス人のユーモアを理解するきっかけになるはずです。
『プライドと偏見』を現代風にアレンジした『ブリジット・ジョーンズの日記』も元気が出る良い作品なので、ジェイン・オースティン入門として観てみると面白いです。是非。








2014年6月10日火曜日

『X-MEN フューチャー&パスト』感想、見どころ、時代背景



X-MENシリーズの集大成!最高でした!

□あらすじ

人間と特殊能力を持つミュータントの間で戦争が起きたので、リセットするため過去に戻って戦います。




2014年4月10日木曜日

『ソーシャル・ネットワーク』連載その1 この作品は実話に基づくフィクションです



facebook創立10周年イヤーということで、しばらく連載を行いたいと思います。

まず一番気をつけたいのが、この映画は、エンドロールにもあるように、

実話に基づくフィクションであるということです。

マーク・ザッカーバーグがかなりヤなやつのように描かれてますが、

実際にはパーティー好きの陽気な人物だそうです。


ザッカーバーグ役を演じたジェシー・アイゼンバーグは、

彼の画像や映像を研究し、どのように話すかも事前に決めていましたが、

撮影が始まるとそれは不要なものであるとしています。

映画としてのストーリーや彼の内面に集中するために切り捨てたんですね。

これが功を奏して「ソーシャル・ネットワーク」という映画は傑作となっています。




2014年3月19日水曜日

映画で学ぶ社会問題 〜奴隷制について〜

入試のテーマとしても多く出題されるので、奴隷制について簡単にまとめておきます。

■アメリカにおける奴隷問題の始まり

奴隷制の歴史は古いですが、アメリカで黒人奴隷が多く使役されたのは、綿工業の発達がきっかけでした。

1793年にイーライ・ホイットニーが綿の繊維から種を除去する機械を発明し、それが普及したことで、アメリカ南部が、イギリスの綿工業の原料の供給地としての発達していきます。

綿を採取するために大量の労働力が必要になったため、黒人奴隷を使った大規模なプランテーションが行われることになります。

人間を家畜のように扱うアメリカ南部の人々を、北部の人々は強く批判し、南部と北部の対立が強まっていきました。

■奴隷解放運動

1830年代になると、奴隷廃止運動が活発化していきました。

白人、黒人ともに、北部の人々が中心となって撤廃運動が行われました。

奴隷制を強く世間に意識させるきっかけとなったのが、1852年に出版された『アンクル・トムの小屋』という小説で、後に南北戦争が起こるきっかけにもなりました。



1859年には奴隷解放運動家であるジョン・ブラウンが蜂起しましたが、失敗に終わり、処刑されました。

ジョン・ブラウンを讃えるために作られた「リパブリック讃歌」という歌がありますが、これは今ではヨドバシカメラの歌に使われ、本来の歌の意図は完全に無視されています。
(歌詞は Wikipediaに載っています。)


■南北戦争


1861年にリンカーンが合衆国大統領に就任したことで、奴隷制を維持しようとする南部と、それを嫌悪する北部が完全に分断します。

奴隷制を撤廃しようとするリンカーンに反発し、1861年の2月に南部でアメリカ連合国が結成され、 4月に北部側の要塞を攻撃したことで南北戦争が始まりました。

■奴隷解放宣言

南部で生産される綿花はイギリスやフランスに輸出されていたため、 これらの国が南北戦争に介入する危険性が高まりました。

ここで戦争の目的を明示するために発表されたのが、1863年の奴隷解放宣言で、これにより、イギリス・フランスの介入を防ぐことができました。

その後、南北戦争は7月のゲティスバーグの戦いを経て終結します。

リンカーンの活動の流れはスティーブン・スピルバーグ監督の『リンカーン』(2012)で描かれているので、是非観てみてください。




■その後

奴隷解放宣言が発表された後も、黒人差別の問題は根強く残ることになりました。

その一つがジム・クロウ法で、黒人を含む有色人種が白人と同じ公共施設を使用することを禁止する悪法です。

病院やバス、レストラン、学校などが白人用と黒人用に分けられることになりました。

1960年代の公民権運動を背景とする映画『ヘルプ〜心が繋ぐストーリー〜』の中でも、黒人メイド専用のトイレを作るシーンが印象的に描かれています。


 

『それでも夜は明ける』、間違いなく、観ておくべき傑作



●基本情報

舞台は1800年代のアメリカ。バイオリニストとして暮らす自由黒人が、ある日奴隷として売り飛ばされ、12年の奴隷生活を強いられた、実話に基づく作品。

●感想

黒人の奴隷制度のことは、たしか中学の社会でも出てくるので、なんとなく知っている人は多いはずです。

しかし、その実体は?

奴隷制度や差別は大学入試のテーマにもなるので、ある程度は調べて知っているつもりでいましたが、この映画を観て、まだまだ何も知らなかったと、恥ずかしさを感じました。

鎖に繋がれ、ムチを打たれ、簡単に殺される。

最近の奴隷制度を描いた作品、『ジャンゴ 繋がれざる者』(2013)を観た時もかなりの衝撃を受けましたが、こちらはタランティーノ監督の作品なので、痛快で、カッコ良い部分が際立っていたように思います。(もちろんいい意味で。)

『それでも夜は明ける』は 、『ジャンゴ 繋がれざる者』とは比べ物にならないほど悲しいです。

予告やレビューを観ていると、「希望」を感じるような作品であるように紹介されていますが、僕は、「力強さ」は感じましたが「希望」は全く感じませんでした。

ネタバレになるので、史実にしか触れませんが、原作を書いたソロモン・ノーサップはその後の裁判でも敗訴していますし、どこで、どうやって死んだかも分かっていないんです。

重く、突き刺さるテーマであり、見るのがつらいシーンもたくさんありますが、過去の悲しい事実をよりリアルに感じるため、観ておくべき作品だと思いました。





2013年12月20日金曜日

『おおかみこどもの雨と雪』 日本人がオオカミ人間を描くとこうなる

金曜ロードショーで放送されるらしいので、珍しく邦画のお話です。


簡単に、サクっと書くので、気軽に読んでみてください。
英語の話は無し。文化の話がメインです。


この映画から分かるのは、日本人と欧米人がオオカミをどういう視点で見ているか、でしょう。

 まず海外のオオカミ人間を描いた映画を見てみると、

『アンダーワールド』シリーズでは、ヴァンパイアとオオカミ人間が戦います。


この映画に登場するオオカミ人間はこんなんです。


恐いです。モンスターです。


『ハリー・ポッター』シリーズに登場するオオカミ人間もこんな感じ。





欧米の人々はオオカミに対してかなりネガティブなイメージを持っているのが分かります。

童話『3匹のこぶた』、『赤ずきん』でもオオカミは悪者ですよね。

北欧神話にもフェンリルというオオカミが神の敵として登場します。



では、日本人はオオカミに対してどういうイメージを持っているでしょうか。

『おおかみこどもの雨と雪』では「オオカミはなんでいつも悪者なの?」と尋ねるシーンがあります。

ただ、オオカミが悪者として描かれた作品は、全て海外から入ってきたものなんですよね。

自分が持っているイメージを考えてみると、童話や映画の影響で多少悪いイメージがあるかもしれませんが、

そもそもそんなに印象が強くないんじゃないでしょうか。

欧米的な「オオカミ=絶対悪者」という感覚はないはずです。



まとめると、

☆オオカミにたいする考え方
欧米 → 悪者 ネガティブ
日本 → そんなに悪いイメージは持ってない

となります。

ここで、なぜ日本人と欧米人の考え方に違いが生まれたのか考えてみると、文化背景がわかります。

根幹になる考え方は、

欧米人が牧畜主体の民族で、日本人が農耕主体の民族であることです。

欧米人は家畜として牛や羊、豚の飼育を中心に生活しているので、
夜中に大切な家畜を襲いにくるオオカミは脅威だったわけです。

一方で、日本人は農作物中心の生活なので、
害になるのはイノシシやシカなどの草食動物です。
オオカミは草食動物を狩ってくれるので、
どちらかといえばプラスのイメージが強いです。

また、狩りがとても上手なので、狩猟採集中心の生活をしていたインディアンの人々にとっては、神聖な生き物としてとらえられることもあります。アクセサリーがあるので肉食動物であるワシもデザインに使われています。
同じようにアイヌ民族もクマを神聖視するので、熊送りというお祭りがあるそうです。




地理的、民族的な文化が今の物語や映画にまで影響していると思うとおもしろいですよね。

『おおかみこども雨と雪』という作品は、欧米化されつつある日本人のオオカミ観を、本来のプラスのイメージを取りもどすきっかけにもなるんじゃないかなと思います。


この映画は大好きな映画で、同じ細田守監督の『時をかける少女』『サマーウォーズ』も好きです。

細田監督の映画は、なんでもないシーンで泣いちゃうんですよね。
それだけ、キャラクターの心理がよく描かれているんだと思います。

『おおかみこどもの雨と雪』でも「ナナメってる!」というセリフでなぜか泣きました。
かわいいシーンなのに。。よく分からんですね。


ちなみにオオカミと月は関連づけて描かれることが多いですが、
これにも文化的な理由があります。

「月」に対するイメージの違いもそのうち記事にしますね。

では。



 

2013年11月21日木曜日

『ハリー・ポッター』魔法の英単語 リディクラス "バカ笑い!"

『ハリー・ポッター』魔法の英単語、第3弾はリディクラス "バカ笑い!"です。

*****
魔法の名前はほとんどがラテン語やギリシャ語から作られていて、英単語もラテン語をはじめとするさまざまな言語を語源としています。
市販の語源の本も最近はイラストが豊富で覚えやすいものがたくさんありますが、
『ハリー・ポッター』を観ている人にとって魔法ほどインパクトがあるものってないんですよね。
せっかくだから利用して単語を増やそう!ってことで連載しております。
①アセンディオ "昇れ!"
②ペトリフィカス・トタルス "石化せよ!"
****

リディクラスは『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』、リーマス・ルーピン先生の授業で練習する、形態模写妖怪のボガートを追い払うための呪文です。



リディクラスは英語にも似た単語がありますね。

ridiculous (形容詞)「ばかばかしい、おかしな」です。

発音はリディキュラス。ほぼそのままですよね。

『プラダを着た悪魔』のミランダとアンディが車内で会話しているシーン(1:38:05)で使われています。ミランダがアンディに対して「あなたは私に似てるわ」と言ったあと、アンディが反論しますね。そこでミランダが言うセリフはこんな感じです。

"Don't be ridiculous. Andrea. Everybody wants this. Everybody wants to be us."

さて、ridiculous自体はそれほど難しい単語ではないので、
ここからは上級者・受験生向けに上智大学の問題を使って解説を行います。


問 次の英文の下線部の意味に、もっとも近いものを1~4の中から一つ選びなさい。
It was unnecessary to make fun of your sister in front of everybody. She seemed so embarrassed.
1. amuse          2. fool              3. ridicule           4. entertain
上智